生まれてからずっと同じところに住んでいる人もいれば,転々としてどこがふるさとかわからない人もいるだろう.僕の場合はその中間だ.転々として元に戻ってきている.
晩年の母とは,よく僕が生まれた頃のことを話したものだった.色々なことを思い出すのだろう,たまに実家に帰ると夜遅くまでアルバムを見ながら話したものだった.その頃から,僕の記憶にはない生まれたところをたどってみたいなと思っていた.
スタートはここ.
どこで生まれたの?と聞かれると,根岸と答えることが多い.だが,実際には全く覚えていない.住んでいたのも1年かそこららしい.
駅から10分ほど歩いたところだったようだ.
路地の奥の方,今ではアパートが建っていたが,区画自体はしっかり残っていた.横浜といっても都会とはほど遠い.
この崖の上の方に行くと,有名な(有名だった)レストランがある.
荒井由実の歌で出てくる海辺のレストランだ.
僕はこの店に入るのは2回目.
去年の夏,医局を辞める決心をして大学に挨拶に行った日に立ち寄った.店内は落ち着いた雰囲気で,よき時代を思い起こさせる.客はほとんど年配だ.前回はユーミンの歌が延々と流れていたが,今日は自動演奏のピアノでビートルズが流れていた.
ランチメニューを頼む.
窓の外には海が見えるはずだが,たくさんのマンションに遮られて海はかすんでいる.時代とともに雰囲気が変わるのは仕方ないことなんだろう.
それでもテラスに出て,海の方向で写真を撮ってみる.
ドルフィンからちょっと坂を上がったところに根岸森林公園がある.ここは明治時代に根岸競馬場があったところだ.日本での近代競馬発祥地ということで,いまでは広い公園とともに競馬博物館がある.
僕はこの公園で遊んだことがあると思っていたのだが,当時はまだ米軍のゴルフ場跡地だったそうだ.自分の記憶なんていい加減なものだ.
競馬博物館は,大した大きさではないが100円の入場料なら安いもんだ.
テレビ神奈川の懸賞で入場券が当たって,ナントカ展に来たことがあるが,それがナニ展だったのかは全く記憶にない.
さすがに競馬場の跡地だけあって広い.今日は桜がだいぶ咲いていたので,花見には丁度よかっただろう.
この3つ見える塔は,当時の一等観覧席(スタンド)だそうだ.立ち入り禁止区域になっているので眺めるだけだが,いい雰囲気を醸し出している.
公園内をぐるっと回って戻る途中に池があった.池の中にこんな光景が.
微笑ましく見えるが,みんなミドリガメだ.
公園を出て,近くに引っ越したというところのマンションを探してみる.
すると・・・母から聞いたことのある建物の名称が書いてあった.
僕は全く記憶にないが,外装を綺麗にしているだけで当時のままだそうだ.当時も新築じゃなかったそうなので,もう築50年以上経っているんじゃないか.まさか当時の建物が残っているとは思っていなかったので,感動だ.
それにしても,ドルフィンといいこのマンションといい,ついこないだまで働いていた大学病院と目と鼻の先ぐらいの距離だ.近いとは思っていたが,改めて探してみると,自分が生まれた場所とほぼ同じ場所で文句を言いながら働いていたのかと思う.
次は,文字通り生まれたところ(産院)を探してみる.もうずいぶん前になくなったという話しだが,どの辺にあったのかだけでも見当はつかないのだろうか.残念だが,全く見当がつかないようだ.せっかくだから近くにあった爬虫類ショップを覗いてみる.
そして,そのあとは全く縁が切れた父方の実家があったところへ.
まぁここはよく通るところなので,とっくに無くなっているのは知っている.
というわけで,僕が見たいと思っていた場所は全て網羅された.いやぁそれにしても,横浜から離れていたときには絶対横浜に戻りたい,住みたいなどと思っていたのだが,二度にわたる大学病院勤務の間にその気持ちは薄れてしまった.憧れの町や思い出の町は,心の中にしまっておくのがいいのかも知れない.
〆は中華街.
横浜生まれ,勤務地もこの辺ながら,中華街についてはほとんど何も知らない.有名どころの店では一度も食べたことがない.なので,奮発して萬珍樓に行ってみる.
けっこう中華街の外れの方に位置しているんだな.浜スタのすぐそばだ.
一品で頼むと二皿ぐらいで腹一杯になってしまうだろう.やっぱりここはコースで頼む.
普段食べる中華とは,やっぱり違う.いい中華料理ってほとんど食べたことがないので,改めて感動する.
柳琴の生演奏もある.
しばらく自分を見つめ直したいという思いで,懐かしい場所を訪れてみたいなという第一弾.その初っぱなの感想は,やっぱり思い出は思い出として,前に進まなきゃならないんだろうなということ.
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