リスクのある職場とはいえ、4ヶ月目にして早くも警察の事情聴取を受けた.
内容を詳しく書くのはヤメテおくが、妊婦さんが亡くなったのである。現場にいた関係者は全員事情聴取を受けるということで、僕もその一員だった。
赤ちゃんを生んで幸せに帰って行くはずの夫婦にとって、突然の奥さんの死は簡単には受け入れられないだろう。医学的にはほぼ死亡している状態の妻にしがみついて、叫ぶ夫の姿は見るに耐えなかった。
一方で、自分の患者がこんな事態になってしまったうちの産婦人科部長にとっても、ショックは計り知れないと思う。飄々として、感情をあまり表さないヒトだが、ここしばらくは毎日この一件で頭を悩ましている。
医者の側として思うことは、出産は普通の人が思っているよりリスクがあるということ。普通分娩で、1リットルぐらい出血することはそんなには珍しくない。2リットル出血したら命に関わる。いまの時代になっても、日本の妊産婦死亡率は出産10万件あたり6人ほど。少なく感じるかも知れないが、高齢出産や何かの疾患を合併している場合に限定すれば、その割合は大きく跳ね上がるだろう。
今回の件に関しても、色々リスクのある方だった。そのリスクを承知で妊娠しろというのはムリな話しなのかも知れない。
家族の感情を想像すれば、考えられない不幸なことで、訴えたくもなるかも知れない。その一方で、医学的にはほぼできる限りのことやって、それでも助からなかった。この合い間で自分の感情をどうコントロールすればいいのか。
うちの病院では、オペも出産もほとんど産婦人科部長が一人でやっている。ほぼ365日病院で寝泊りしている。この地域の出産1/4を取り上げている。これだけやっていて、できて当たり前という仕事。産婦人科医になりたがるヤツが少ないのは当然だろう。
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