どの業界だって、その中にいなきゃわからないことってたくさんあるだろう。病院にしたって、その科にいなきゃわからないことばかりだ。
相変わらず水曜日は不人気外来なのだが今日は初診がたくさん来た。いつもの通り大した人数でなくても初診が多いと極めて時間がかかる。
大学病院で骨折のオペをしてもう1年以上経っているという人だが、受診するたびに大丈夫と言われていたがついに痛くて歩行困難になってきたという人。今の時代、まだ高齢者という年齢ではない。
そりゃ痛いだろというよりも、そもそもなんでこんなオペをしたのだろうか。もともと転子下骨折それ自体、骨がなかなかくっつかなくて時間がかかることはある。それもあって最近では可能な限り長いネイルを入れようというふうになっている。なんでCHSなんぞ入っているのかといってしまえばそれまでだが、それならそれではるかに長いものを入れるべきだ。
CTなんぞ撮るまでもなく、偽関節は明らかだ。だが、患者を納得させるためにいちおうCTを撮る。ほらどの方向から見てもスキマが空いているでしょ・・・
まぁ僕の感覚からすると有り得ないオペだが、病院には色々と事情があるので頭ごなしにそこの大学病院を非難するわけに行かない。
指導医がCHSの有名なドクターなのかも知れないし、教授がインプラント業者と契約をしているのかも知れないし、はたまた大転子がバラバラで髄内釘は入れたくないね(レントゲンを見る限りそんなことはないが)という展開になったのか。
「ネジが折れているのもまったく問題ないって言われました」
骨融合しているのであればネジが折れていてもまったく問題ない。しかし、偽関節だから日頃から骨がグラグラ動いている結果としてネジが折れたんだろう。
「あそこは信用できないからこちらで診てもらいたい・・・」
いや、それはいいけど、これを再手術するのはものすごい大変だよ。
一般的に考えると、一年で異動してしまう下っ端がオペしてそれを引き継いだ下っ端がレントゲンもロクに見れないでスルーしてしまってるんだろうなと思う。
それ以上に、骨折のオペがほとんどできない大学病院なのかも知れない。まぁ僕がいた大学病院だって、年に2-3回しか子供の骨折なんてやらないのに、職員の子供だからってオペを引き受けてとんでもないレントゲンになっていた。
みんな有り難がって大学病院に来たがるが、骨折の治療で有名な大学病院なんてほとんどない。大学の偉い整形外科医は骨折のオペなんぞほとんどやらないのだ。転子部骨折のネイルさえ入れられない人工関節のお偉い先生が去年もいたのだが。
こういうのって内々に葬られてることが多いんだろうなと思う。
「いったん向こうの先生に話を聞いてきてください。」
「ここの病院で再手術をするなら、大手術になります」
大手術かどうかはともかく、どこの病院でやろうが、がっつり開創して大変なオペになることだけは確かだ。
昨日の晩も食いすぎたせいか、昼飯はほとんど食欲がない。
外来が終わったら僕には用ナシだ。ウダウダ休憩する。
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