昨日、救急車の事を少し書いたら、偶然にも今日は救急車に乗る機会があった。
今日の午後は、部長先生が夏期休暇のため、病棟をチョロッと回診して終了する予定だった。しかし、13時ごろ突然救急から電話があった。
「他院に救急搬送しなきゃいけない患者さんがいるんだけど、救急のドクターはみんな手が離せないので代わりに行ってくれないか?」
なんのことない、形成外科はヒマだということが知れ渡っているのだろうか、名指しで救急車に同乗の指令だった。
患者さんは90代のしっかりしたお婆ちゃんだったが、緊急で循環器のオペが必要。しかし、うちの病院ただ一人の心臓血管外科のドクターが不在であったため、他院に緊急搬送する事になった。
何でもかんでも受け入れるうちの病院にとって、多院転送は滅多にない。こういう日に運ばれてくるのもめぐり合わせが悪いのだが、はるばる横浜の病院まで搬送する事になった。
往路の道中、40分ぐらいだったろうか、トンチンカンなことばかり言っている60代と思しき患者の息子を適当にあしらいながら、ずっと心電図のモニターを眺めっぱなしでかなり緊迫していた。車内で急変したら、挿管と心臓マッサージしかできることがない。ノー天気なことをブツブツ言っている患者の息子が鬱陶しくてしょうがなかった。
搬送を無事に終えて、帰りの救急車の中は気が楽だった。運転席と助手席に救急隊員が乗っており、うしろにはリーダー隊員と僕。普段は病院の救急入り口で数秒会話するだけの関係だが、今日は色々と話ができた。
リーダーがイキナリ言った一言、
「7割は救急車をタクシー代わりだと思ってますからね」
病院にいてそう感じつつも、実際に搬送している救急隊員がそういう風に感じているのは、やっぱり悲しい現実だ。
・救急車なら病院に着いてからすぐ診てもらえる
・年寄りを家で面倒みるのが大変だから救急車呼んじゃう
・入院したくてお泊りセットを担いで歩いて乗ってくる人
・自分で119番したことも覚えていないボケ老人
挙げたらキリがないが、救急隊員には「運ばない」権限はないため、要請されたらどこかの病院に搬送することになる。
病院で待っている僕らよりも、救急隊員の方がはるかに腹の立つ現場に出くわすだろうが、それもあって、そのリーダー隊員は、イかに訳の解からん事を言っている患者(?)をウマくあしらうか常に考えているという。
けど、泥酔で119番がきて、酔っ払いから
「コイツら税金で食ってるからいくら呼んだっていいんだ」
と言われるときには本当に腹が立つと言う。
文字通り、こういう下らない救急車の使い方が税金の無駄遣いそのものだ。賛否両論あるかも知れないが、ある程度は本人負担をさせないといけないのではないか?
帰りはサイレンを鳴らさないため1時間以上かかった。
「ネガティブなグチばかりになっちゃうのも悲しいですね」
お互いに苦笑いして救急車を降りた。
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