金曜日はいつもの通り施設の回診だ。
もともとうちの勤務時間は、ドクターは10時-18時だ。僕は立場上、朝の申し送りにも参加した方がいいと思っていたからみんなと同じく9時出勤にしていた。だが、そんなことしなくていいそうなので、今月からは普通のドクターと同じく10時に出勤することにした。
出勤すると山のようにカルテが置いてあるが、診察優先だ。
世の中には入居者を窓から投げ捨てるような施設がいくつもあるようだが、ここは無縁だろう。まぁ全てのスタッフのことを知るなんてムリな話だが、ダメな施設はやっぱり端々にそういう雰囲気を感じる。ここの施設は医療介入度が高い高齢者でも入居できるので、ほとんどの入居者の家族が積極的な治療を望んでいる。うちとしてはどんどん往診依頼が入るからありがたい。
そういう観点からすると、施設は入居者の介護をして具合が悪ければすぐ診療所を呼ぶ、うちとしては頑張って治療したら家族から喜ばれる、最近よく聞く言葉で言えばみんなウインウインだ。
昼飯は、あんまり好きじゃないところでまたまたみんなで食いに行く。
肉そばというのは固めの鶏肉の入った冷たいそばだ。ここのは、よく言えばギンギンにひえていないから食いやすい。逆に言えばぬるいだけだ。横のかき揚げ。そば屋のかき揚げって、カラッと揚がっているのが当たり前な気がする。しっとりした野菜のかき揚げ、噛むとジューシーに油が口に広がる。
大した量を食うわけではないが、腹一杯になって午後の診療に行く。先週とはうってかわって、今日の午後は5件だけだ。状態が悪いのは先週夜間往診に行った人ぐらいで、他はみんな落ち着いている。家族もうるさくない。余裕があると、診察もしっかりできるのは当たり前だ。もちろん、早く帰りたいだけのヤツなら処方箋だけ渡してさっさと帰るんだろうが。
ひとり、偶然見つけた挫創縫合をやったが、そういう処置も、余裕があると丁寧にデキる。
夜は有志の飲み会だ。
なんと参加者の誰も入ったことがないという店だったが、温泉街にある昔ながらの居酒屋だ。大して珍しいメニューがあるわけじゃないが、無難に美味い。
話のネタは、もっぱらいま休養中のスタッフの話だ。僕は、入職してちょっと経った頃に、意味のわからないことでキレて大声を上げられたので、あんまり関わらないようにしていた。院長っていったって、人事には全く口を出せないショボイ立場だから、ナニもできない。
患者の家族からも苦情がたくさん来ていたが、ついに仕事が出来ないといってここ半年ぐらいはちょこっと出勤してボーッとして帰るだけだった。
組織上は僕の直属の部下じゃないからあんまり実情を聞くことはなかったのだが、患者の家で悪たれをつくのは日常茶飯事で、部下には「うちの患者なんて治療する意味なんて全くない」と治療の妨げをしていたらしい。自分の苦情を言ってきた患者は、勝手に診療中止にしたこともあるそうだ。
まぁまぁよくもそこまで悪意のある人間が普通に社会生活を送れるものなのかと感心することしばし。組織としては、スタッフが辞めそうになっているのはケアする義務があるのだろうが、患者を診察してなんぼの商売で、そんなヤツを働かしておくのは許されないだろう。
楽しく飲みながら、中身はそんな話しに終始した。なんか、院長とかいって責任を負わされるだけの立場だと、バカバカしくなってくるな。
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